泌尿器科

泌尿器科の医師が何をしているのか、実はあまり知らない方もおられるかと思います。実は泌尿器科が対象とする臓器や疾患は意外に多いのです。水分の調節や老廃物の排泄を行う腎臓に始まり、尿管、膀胱、尿道へと連なる尿路や、様々なホルモンを産生する副腎、前立腺や精巣などの男性生殖器などを中心に治療していきます。
また泌尿器科は男性だけの病気が多いのも事実ですが、女性に多い病気も多数扱っているのが特徴的です。

代表的な疾患

過活動膀胱、前立腺肥大症、神経因性膀胱、尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)、前立腺炎、精巣上体炎など)、性感染症(いわゆる性病)、尿路結石(腎結石、尿管結石、膀胱結石など)、前立腺がん、膀胱がん、勃起障害(ED)など

こんな症状ありませんか

これらの症状はごく一部です。「これは病気なのか?」と悩んだらまずはご相談ください。

過活動膀胱

過活動膀胱は年々増加傾向にあり、現在では40代以上の男女の8人に1人が何らかの症状に悩まされていると言われています。
膀胱は正常であれば300‐500mlくらい尿をためることができ、膀胱に200ml前後の尿がたまると尿意を感じ始めます。しかし様々な理由で尿が膀胱に十分にたまっていないのに、突然我慢できないような強い尿意を感じることがあります。このような病態を過活動膀胱といい、トイレが近い、排尿を我慢できない等の症状が起きます。中には我慢できず漏れてしまう人もいます。
原因は加齢や膀胱機能の低下など様々あり原因不明のものも少なくありません。過活動膀胱は中高年の女性に非常に多く、男性でも前立腺肥大症に合併することで知られています。
最近では過活動膀胱に対して有効な薬がたくさん出てきています。内服で多くの方が改善すると言われています。
2020年4月よりボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法が保険適応となり、治療の選択肢が増えてきております。

前立腺肥大症

前立腺とは、膀胱の下に位置し尿道がその中を貫いています。前立腺が肥大すると尿道を圧迫しトイレが近い、尿の勢いが悪い、残尿感がある等の症状を引き起こします。放っておくと全く尿が出なくなる人もおり、これを尿閉と言います。尿閉になればすぐに受診して下さい。
40歳以上の男性の半数以上が何らかの症状を持っていると言われており、加齢や男性ホルモンなど原因は様々言われていますが正確なことは分かっていません。
前立腺肥大症に対して有効な薬もたくさんあり、中には過活動膀胱の薬と併用する場合もあります。

神経因性膀胱

尿を貯めたり、出したりするには脳からの命令を神経が正しく膀胱や尿道に伝える必要があります。この神経が、脳梗塞、パーキンソン病、子宮がんや直腸がん手術により障害を起こしたり、けがで脊髄を損傷したりして排尿がうまく出来なくなった状態を神経因性膀胱と言います。
トイレが近いなど過活動膀胱と似ている症状の場合がありますが、治療法は異なってきますので注意が必要です。

尿路感染症

尿路に細菌が棲みつき、増殖して炎症を起こした状態を尿路感染症と言います。
感染する場所によって症状が異なります。その中でも代表的なものを説明していきます。

急性膀胱炎

膀胱炎では発熱はありませんが、排尿時痛、残尿感、頻尿などの症状が起きます。
場合によっては血尿を伴うこともあります。尿検査を行うことで診断が可能です。

急性腎盂腎炎

炎症の起きている腎臓がある側の腰背部痛や発熱などの症状が起きます。
ただ、痛みを感じない場合もあり、その場合は発熱のみの症状となります。
場合によっては入院が必要になります。特に尿管結石に合併した結石性腎盂腎炎では非常に危険な状態になることがあります。

急性前立腺炎

前立腺炎は急性の場合の多くは細菌による感染で発熱や排尿困難、排尿時痛や残尿感、頻尿などの症状が起きます。
場合によっては入院が必要になることがあります。

慢性前立腺炎

慢性前立腺炎は慢性骨盤痛症候群と言われる場合もあり、発熱はありませんが、会陰部不快感や会陰部痛、骨盤内の痛みなどの症状が起きます。
原因は多岐にわたり、有効な治療法は確立されていません。しかし生活習慣の見直しや植物製剤の使用で改善する場合もあります。

急性腎盂腎炎

炎症の起きている腎臓がある側の腰背部痛や発熱などの症状が起きます。
ただ、痛みを感じない場合もあり、その場合は発熱のみの症状となります。
場合によっては入院が必要になります。特に尿管結石に合併した結石性腎盂腎炎では非常に危険な状態になることがあります。

性感染症

性感染症は、性行為によって感染を起こす病気の総称です。
社会状況や衛生状態の変化、および性行動や性風俗の多様化に伴い変化してきています。
代表的な性感染症は、淋菌感染症、クラミジア感染症、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、エイズなどです。
心当たりのある方は早めの検査と適切な治療を受けることが早期治癒への大事な一歩です。

尿路結石

結石がある場所によって腎臓結石や尿路結石、膀胱結石など名称が変わります。
腎臓内にある場合は痛みが無いことがほとんどですが、たまに血尿を認めることがあります。
しかし結石が腎臓から尿管に移動し、尿管に詰まると、腰から背中にかけての激しい痛みや発熱などの症状を引き起こします。
小さい結石であるほど自然に出てくる可能性は高くなりますが、大きくなってくると何かしらの治療が必要となってきます。

骨盤臓器脱

骨盤の中には膀胱や子宮、膣などの臓器があります。骨盤の筋肉や靭帯が弱まってくると、これらの臓器が下垂してきて膣口から出てくることがあります。これを骨盤臓器脱と言い、性器脱と呼ばれる場合もあります。
病状の進行により頻尿や尿失禁、排尿困難などの症状を来たすことがあります。根治的には手術が必要ですが、これらの症状に対しては内服も効果がありますので一度ご相談ください。

前立腺がん

前立腺がんは最近とても増えてきています。2000年頃までは日本人男性のがんの罹患数は7位でしたが、最近では胃がんに次いで2位となっており急増していることがわかります。前立腺がんは末期になっても症状がでないことがありますので早期発見が重要です。血液検査で前立腺特異高原(PSA)を検査することなどでがんの可能性の有無を調べることが可能です。50歳以上の方はPSAの検査をお勧めします。また血の繋がった家族に前立腺がんの方がいる場合、前立腺がんになる危険性が2〜5倍程上がると言われています。そういった方は40代からでもPSA検査をすることをお勧めします。

膀胱がん(尿路上皮がん)

腎盂、尿管、膀胱などの尿が通過する部位は尿路上皮という粘膜で出来ています。そこにできるがんを尿路上皮がんと言います。尿路上皮がんが膀胱にできると膀胱がんと言う呼び方になります。痛みなどの症状を伴わない血尿が出た場合は腎盂がん、尿管がん、膀胱がんを疑い検査を行う必要性があります。その後血尿が止まると治ったと勘違いし放置してしまい、2回目、3回目でようやく検査に訪れる場合があります。その時にはがんが進行してしまっていることもあります。血尿があった場合はなるべく早く受診してください。

ED

EDとは満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないことで、年齢と共に誰もが成り得る病気です。
日本人男性全体で言うと3人に1人がEDと言われています。EDの薬は何種類かあるので問診を行い、適切な内服を提案いたします。
事前に気になることがあればお気軽に問い合わせ下さい。